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聖学院中のオンリーワン表現力入試(2023年新設)&グローバル思考力特待入試

聖学院中のオンリーワン表現力入試(2023年新設)とグローバル思考力特待入試の様子をお伝えします。

中学入試の多様化をリードする形で、早くから思考力入試を導入してきた聖学院中学校。今春2023年入試ではこれまでの3種類の思考力入試に加え、新たな評価軸で受験生の力を評価する「オンリーワン表現力入試」を新設しました。2月4日(土)AMに並行して実施された同入試と「グローバル思考力特待入試」の様子を取材させていただきました。取材・撮影・文/北一成〉

グループでプレゼンと対話をするオンリーワン表現力入試

聖学院中学校の入試に、今春2023年から新設されたのが、オンリーワン表現力入試です。

受験生4人1組(面接官3名)で、自己PRやプレゼンテーションをして、面接官からの質問に答える対話形式のグループプレゼンという、中学受験ではまだ珍しい形式の入試です。

グループプレゼンの後の協働振り返りの時間には、そこで聞いた同じグループの他の受験生の受験生のプレゼンに対して、気づいたことや考えたことをワークシートに記入します。このシートの質問は、同校の3種類の思考力入試(ものづくり思考力入試・デザイン思考力入試・グローバル思考力特待入試)と同じです。

導入初年度のオンリーワン表現力入試には、19名がチャレンジ!

今回のオンリーワン表現力入試には、募集定員5名のところへ37名の出願があり、2月4日当日には19名が実際に受験しました。

初年度の入試ということもあり、最初のグループの面接官は、これまで聖学院中学校の思考力入試を中心となって考案~実施してきた先生方3名が担当し、それを別室で控える面接官の先生方に同時配信することで、初めての入試に挑む受験生の様子や、質問の流れ、評価のポイントなどの共有が図られました。

自分で作った作品なども持ち込み可

今春2023年入試から新設されたオンリーワン表現力入試。初めての入試だけに、先生方も、受験生の自己表現を引き出すために万全の準備を工夫する一方、この新たな入試の初年度のチャレンジャーとなる受験生も、試験教室への入室の際には、やや緊張気味…?

最初のグループとなった3名の受験生は、それぞれの好きなこと、打ち込んできたこと、これからもがんばりたいことなどを自己PRします。個々の受験生が表現したいことを、なるべく余すことなく引き出すために、先生方も笑顔で柔らかな声かけを心がけている様子です。

最初は、1人ずつ、自己PR(表現)をして、先生方がその内容について質問をする形で対話が交わされていきます。自己PRには、自分で作った作品などであれば、この場への持ち込みも可です。ただし、それが評価対象になることはなく、また持ち込み無しでも減点になることもありません。

自分ががんばってきた様々なことを自己PR

この今春新設の「オンリーワン表現力入試」に集ってくれた受験生は、グループ・プレゼンテーションの場で、各自が好きで打ち込んできたことや熱中してきたこと、がんばってきた様々なことを、自分の言葉で伝えていました。

小学校での運動会の応援やその他の学校活動、趣味のプラモデルなど、小学生の男子が好きで熱中し、がんばってきたことは、まだ子どもらしい、微笑ましく感じるものも多くありましたが、それもこの年齢の男の子が、この先に大きく逞しく成長するためのバネになるものではないでしょうか?

そういう男子の中高6年間の大きな成長の様子を、個々の生徒の「伸びる力」と可能性を信じて、大らかに見守ってきた聖学院中高の先生方の姿勢が、この入試にも表れているように感じます。

グループ・プレゼンの後は、思考力入試と共通の「協働振り返り」

各グループのプレゼンテーションと、先生の質問に答える時間に続いて、受験生同士で質問に答える対話の時間が終わると、この場は終了です。

いったん試験教室を出て控室に戻ると、そこでそれぞれ「振り返りシート」に記述します。

その振り返りで記述するお題は、先ほどのグループ・プレゼンで聴いた他者のプレゼンや意見に対して、①「他の人の意見を聞いて気づいたことは何ですか?」と、②「自分の解答を修正するとしたら、どこをどのように直しますか?」という二つでした。

この設問は、思考力入試とも同じだといいます。聖学院では、これらの入試にいずれも「協働振り返り」の時間を設け、言葉や記述で、自身の「気づき」や、他の人の作品や意見について感じたことを、互いに共有する場を大切にしています。

これが、新設されたこの「オンリーワン表現力入試」でも、これまでの思考力入試と同様に大切にされているところが、聖学院らしさと考えられます。

思考力→協働振り返り→面接で行われるグローバル思考力特待入試

この日、別室で併行して行われたのが、「思考力パート」と「面接パート(特待生志望者のみ)」の形で、「協働的思考」「創造的思考」「批判的思考」それぞれの力を問う「グローバル思考力特待入試」です。

ここでは、8時30分~9時50分までの80分間が「思考力パート」、10時~10時30分までの30分間が「協働振り返り」、その後、特待生志望者のみの約20分間の個人面接が10時45分から行われます。

「思考力パート」では、与えられた課題と資料から、情報の抽出、比較分類、知識の活用、聞き取りなどを通じて、課題を発見・整理し、そのうえで自身が考えた課題解決策をレゴブロックの作品で表現し、文章で説明します。

「心揺さぶられた出来事」や「元気になるような祭り」を考える

この2023年の「グローバル思考力特待入試」のお題を紹介すると、

問1
あなたが『心揺さぶられた出来事』を表現

問2
問1の状況を4つの質問に答え、詳しく書き出し、「どんなところに心揺さぶられたのか?」を整理

問3
ある街(資料Ⅰ)で「人が集まる、住む人が元気になるような祭り」を企画することになりました。どんな祭りをどうやって、どんな人たちと企画しますか?

という流れになります。この課題解決策をレゴブロックの作品と文章で表現しますので、もう2種類の思考力入試、「ものづくり思考力入試」と「デザイン思考力入試」で問われる力の両方の力を問うような入試と考えることもできそうです。

ユニークな「オマツリジャパン」の企画!

上記の問3のある街(資料Ⅰ)で「人が集まる、住む人が元気になるような祭り」を企画することになりました。どんな祭りをどうやって、どんな人たちと企画しますか?
という課題に対する企画(答案の記述)のひとつを例にご紹介すると、

「ロボットたちがおどりながら船を動かす祭りを企画」、

「皆のおどりや動きをエネルギーに変えて、船が動く」、

「船がゴールインしたら花火があがる」

などといった、ユニークな記述がいくつもあったといいます。

協働振り返りや面接では、意思や考えを伝え、受け止める力を!

この「グローバル思考力特待入試」でも、このほかの思考力入試や先述の「オンリーワン表現力入試」と同じように、「他者への協働振り返り」という時間が設けられています。

これが、「Only One for Others(他者のために生きる個人)」の言葉を掲げて、個々の意見や考えの違いも認めあって、一人ひとりの賜物(たまもの)を活かす教育(=Only One教育)を実践する聖学院ならではのこだわりでもあると、広報部長の早川太脩先生は言います。

だからこそ、どの新タイプ入試にも「協働振り返り」の時間を設け、自分の考えを他者(仲間)にも伝え、他者からの意見も素直に受け止めて、そこでの気づきも含めて、さらに思考を深めていくことができるように、そうした姿勢が問われていると考えて良いでしょう。

これらのユニークな入試が多様な小学生を聖学院に誘う!

今春2023年入試では、2月1日(水)午後に実施された「ものづくり思考力入試」、2月2日(木)午後に実施された「デザイン思考力」入試と、この「グローバル思考力特待入試」を合わせて3種類の思考力入試に加えて、冒頭でご紹介した今春新設の「オンリーワン表現力入試」という「グループプレゼン+協働振り返り」形式のユニークな新タイプ入試によって、新たな受験の形態(=受け入れの間口)を広げてくれた聖学院中学校。

それぞれに違った小学生の潜在的な資質や能力(聖学院的な表現では「賜物(たまもの)」や協働力、将来的な成長の可能性などに光を当て、同校を好きになって受験に訪れた小学生の長所や得意な力を見出して評価してくれるこれらの入試で、聖学院はいま、多様な力を持つ多くの小学生と、その保護者にとっての“希望の私学”となっているのです。