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聖学院中の2/2PM実施「M型思考力入試」レポート

今春2019年入試では2月2日午後に行われた聖学院中学校の「M型思考力入試」のレポートをお届けします...

今春2019年入試では、2月2日午後に行われた聖学院中学校〈東京・北区。男子校〉の「M型思考力入試」。聖学院中学校が実施している3種類の「思考力入試」のうち、昨年までは「思考力+計算力入試」という名称で行われてきた入試が、今年は「M型思考力入試」という名称に改められ、さらにブラッシュアップした形で行われました。

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3種類の「思考力入試」を実施している注目の聖学院中学校

今春2019年入試では、2月2日午後に行われた聖学院中学校〈東京・北区。男子校〉の「M型思考力入試」。聖学院中学校が実施している3種類の「思考力入試」のうち、昨年までは「思考力+計算力入試」という名称で行われてきた入試が、今年は「M型思考力入試」という名称に改められ、さらにブラッシュアップした形で行われました。

「私立中入試の多様化」が注目されるようになったこの2~3年の首都圏中学入試ですが、聖学院中学校は、他の私立中に先駆けて、いち早く6年前から、独自の「思考力入試」を工夫~導入してきた先進的な私学です。

首都圏模試センターでは、聖学院中学校のこの姿勢と方向性に注目し、今春2019年入試で取材させていただいた2/2PM「M型思考力入試」に加えて、昨年2018年入試では、この年から2/4に新設された「難関思考力入試」を、その前年2017年入試では、2/1PMに行われた「ものづくり思考力入試」を取材させていただき、その取材レポート記事をWebサイトで紹介させていただいてきました。

「思考力」と「計算力」を見る科目で、3つの「M」の力を問う

今回、取材をさせていただきご紹介する「M型思考力入試」とは、同校のWebサイトに掲載されている『思考力ガイド』にも紹介されているように、「M型」の「M」は「Mathematics(グラフの読み取り、計算力)、Meta認知(物事を俯瞰して見る力)、Metamorphose(柔軟性)の3つの頭文字を組み合わせたものです。

前年までの「思考力+計算力入試」という名称からも感じ取れるように、計算力の正確さに加え、今までにない視点に触れた時に、それを俯瞰しまとめ自分の考え方にどう取り組むか、どう変化するかを見る入試ということです。

「観察するのが好きな児童向け」、「計算問題も出題します」と謳われているように、「思考力」を見る科目と「計算力」を見る科目で構成された入試で、「評価のポイント」としては、「情報を取り出す力」、「比較・分類する力」、「統合して解釈する力」が問われるとされています。

思考力を問う科目〈60分〉と計算力を問う科目〈30分〉

まず、「思考力」を見る科目では、資料として様々なジャンルの事象を提示し、その資料から感じたことや比較して気づいたこと、それぞれの課題や自分との関わりなどを文章でまとめます。その考え方や情報の取り出し方を評価する点は「思考力ものづくり入試」と同じです。

続いて、「計算力」を見る科目では算数の計算問題が出題されます。算数の基礎力と、2020年教育改革でも重視されている理数的な処理能力を見るための科目です。

今春2019年入試の「M型思考力入試」は、募集人員15名。15:00~16:00に「思考力〈60分〉」、16:15~16:45に「計算力〈30分〉」を見るテストという時程で実施されました。

この2月2日(土)午後の時間帯には、第2回「特待・アドバンスト入試」(2科または4科の選択)も並行して行われるなか、14時40分までに講堂に集まった受験生は、定刻になると保護者と別れ、それぞれの試験会場に案内されて、いざ入試へと向かいます。

配布された「資料①・②」には、写真と地図、グラフ、表組が掲載

今年の「M型思考力入試」の志願者数は36名(昨年31名)、そのうち「32名」の受験生が、実際にこの2月2日午後に受験に訪れました。

試験会場は、聖学院中学校・高等学校が実践し、年々進化させている「21世紀型教育」を象徴する“学びの場”ともいえる、校舎6階の「フューチャールーム」。前日2月1日午後に実施された「ものづくり思考力入試」も、この教室で行われたといいます。

最初に行われる「思考力」テストの開始時刻が近づくと、教室内の空気がぴんと張り詰め、受験生が気持ちを集中させて、これから入試に挑もうとする緊張感と意欲が伝わってきます。

試験問題が配られ、やがて開始時刻になると、担当の先生からの「始めてください」の声とともに、一斉に試験問題を開く音が教室内に響きます。

開かれた試験問題に挟み込まれていた「資料①」の表裏見開きには、同校Webサイトにも掲載されている過去問題(2016年)の抜粋と同じように、何点もの写真が掲載されています。同じく「資料②」には、カンボジアと日本を比較した地図とグラフ、表組などが掲載されています。

前年に行われている「思考力セミナー」で、すでにこうした形式の問題を体験している受験生が大半ということもあってか、開始後すぐに、試験問題中の写真と問題文に意識を集中させている様子です。

資料から読み取れる「共通点と相違点」「疑問点」などを記述

A4判×8ページにわたって、二つ折りで印刷された問題用紙には、冒頭の見開きの[発見体験 その1]には【問1】と【問2】、次の見開きの[発見体験 その2]には【問1】、その次の見開きの[新たな問いの探求]には、それぞれ3~5行の問題文が書かれていて、それぞれの見開きには、各課題についてのメモ(解答)を書く広い空欄の解答欄が印刷されています。

そして問題用紙の最終ページには、[200字まとめ]として、ここだけは原稿用紙型のマス目の解答欄(記述欄)が印刷されていました。

最初の[発見体験 その1]の【問1】では、東京都を訪れた外国人観光客に人気のスポットとカンビジアの首都プノンペンの人気観光スポットの写真が印刷された「資料①」を見て、東京とその国の観光スポットについて「共通点と相違点(異なる点)を挙げてみましょう。」という問い、【問2】では、日本とカンボジアの情報(地図・グラフ・表)が印刷された「資料②」から「読み取れること」と「疑問に思うこと」を書かせる問いが課されました。

「あなたならどうする?」「その理由は?」「その先には?」

次の見開きの「発見体験その2」の【問1】では、カンボジアから東京に遊びに来ることになった小学校6年生の男の子を案内することになった「あなた(受験生)」が、「東京のどこに連れて行ってあげたいか?」、また「なぜその場所を選んだのか?」その理由も併せて書かせる問いが課されました。先の「資料①」で挙げられた場所である必要はなく、何か所を選ぶかも自由です。

続く[新たな問いの探求]では、次のような問い(※以下は原文のまま転載)が課されました。

「日本「に到着した彼に、予定表を見せました、すると、あまり乗り気ではない表情を見せてきました。彼に楽しんでもらいたいと思ったあなたは、彼にいくつかの質問をすることにしました。そのような質問をすれば、よりよい予定を考えられますか? その質問を3つ以上考えて見ましょう。また、なぜその質問をするのかの理由も書きましょう」

そして最終ページの[200字まとめ]では、「実際に観光をする日がきました。彼がより東京を知り、楽しむために、あなたが気をつけようと思うことはなんですか? また、今度、あなたが彼の国へ訪れることになったら、どのようなことを知りたいと思いますか?」という問いが課されていました。

「計算力」テストでは、時間内に集中して「正確な計算」を!

なかなかボリュームのある各問いに、思い思いの姿勢で集中して取り組んでいる受験生の後ろ姿には、真剣で、限られた時間内でありながらも、観察と記述を楽しんでいるような、そんな雰囲気も感じられました。

各受験生がどのくらいの、どのような内容の解答(記述)をしてくれたのかは、その場ではわかりませんでしたが、その後の学校側からの公表では、今年もかなり柔軟な、大人の発想を良い意味ではみ出すようなユニークな解答もあったということです。

「思考力」を見る科目を終えた受験生は、15分間の休憩をはさんで、次の「計算力」を見る科目に取り組みました。このテストはいわゆる「計算力」テストですので、開始から終了まで、一心不乱に計算に取り組む受験生がたてる、鉛筆の「カッカッ」という音の響きと、集中している様子の後ろ姿が印象的でした。

100名が志願した3種類の「思考力入試」で計30名が入学へ!

今春こうして行われた「M型思考力入試」では、32名の受験生のうち14名が合格。そのほか、2月1日に行われた「ものづくり思考力入試」では、39名の志願者(昨年9名)のうち37名の実受験者があったなかで、21名が合格。2月4日に行われた「難関思考力入試」では、25名の志願者(昨年21名)のうち10名の実受験者から2名が合格しました。

3種類の「思考力入試」とも、前年以上の志願者(のべ計61名→100名)へと増加したなかで、計37名が合格して、30名が実際に入学手続きをしているといいます。

今春2019年入試では、従来の2科目・4科目入試の志願者も全体に増加し、入試のレベルも高まったと思われる聖学院中学校ですが、その一方で、こうした3種類の「思考力入試」によって、「従来の2科目・4科目の筆記試験」では測りきれない、小学生の潜在的な資質や能力、意思力や感性を評価し、迎え入れて育ててくれようとしている聖学院の多様なアドミッション・ポリシーと教育姿勢が、いま教育と受験に関わる各界や専門家からも注目を集めているのです。

聖学院の「思考力入試」を理解し、体験できる機会に参加しよう!

その結果、4月から入学してくる新中学1年生の学年は、クラスに5~6名も、これら「思考力入試」での合格~入学者が存在する形になり、また聖学院の“ダイバーシティ化”が、さらに進むことになります。

聖学院中学校・高等学校が工夫し、進化させつつある「21世紀型教育」と、「生徒一人ひとりの賜物(タラント)を大切に伸ばし」、「気づきとモチベーションを高める体験を重視し」、そして「自己肯定感と人間力を高めて大海へと送り出して」くれる聖学院ならではの男子教育に、年々、小学生と保護者からの大きな期待が寄せられるようになっていることは確かです。

そうした聖学院の教育のあり方を知ると同時に、今回ご紹介したユニークな「思考力入試」のエッセンスを体験できる、同校の「思考力セミナー」には、ぜひ多くの受験生と保護者に足を運んでいただきたいと思います。

聖学院中の3種類の「思考力入試」過年度の取材レポート

聖学院中学校が実施している3種類の「思考力入試」は下記のWeb記事でご紹介しています。関心のある方は、ぜひこちらもご覧ください。
【2017年】
聖学院の「思考力ものづくり入試」とは?(1/3) (2/3) (3/3)
【2018年】
2/4、聖学院中が総合的思考力を問う「難関思考力入試」を実施〈その1〉
 〈その2〉