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受験情報ブログ

2021年入試の注目校・芝浦工業大学附属で共学校化&新カリキュラムがスタート!

2021年2月1日(月)午前に実施された共学化初年度の芝浦工業大学附属中学校の第1回入試の様子です。

2021年、共学校化とカリキュラムの刷新という大きな教育改革を実施し、さらに深く学ぶ機会を豊富に設ける芝浦工業大学附属中学校。2021年2月1日(月)午前に実施された第1回入試の様子とあわせ、大胆な入試改革の内容と入試問題に込められたメッセージの一部をお伝えします。〈取材・撮影・文/市村幸妙〉

2021年、共学校化とカリキュラムの刷新という大きな教育改革を実施し、さらに深く学ぶ機会を豊富に設ける芝浦工業大学附属中学校。時代の先端をいく充実した教育内容で、多くの受験生から注目を集め、年を追うごとに高い人気となっている注目の学校です。東京都・神奈川県の入試開始日である、2021年2月1日(月)午前に実施された第1回入試の様子とあわせ、大胆な入試改革の内容と入試問題に込められたメッセージの一部をお伝えします。

教育先進校ならではのカリキュラム&入試改革

芝浦工業大学附属中学高等学校は理工系の大学付属校として、教育の柱としている「STEAM教育」に加え、「言語教育」を大切にしており、国語や英語などにも力を入れています。同校独自の「言語技術」の授業を通じて、表現力や発信力を育成。さらに2021年度からは、主体的・対話的で深く学ぶ問題解決型学習のPBLなどの探究型授業が本格的に始まります。

これらの学びを実践する上で重視したのが、「聞く力」と「イメージ力」。その力を試すべく第1回入試と第2回入試で導入されたのが、国語と算数での「聴解問題」です。この「聴解問題」はその名の通り“聞いて解く問題”で、読み上げられた問題をメモを取るなどしながら解答していくというもの。入学後、「聞く力」と「イメージ力」を強化すべく、入試で取り組むことになりました。

国語では、情報を正確に聞き取れているか、正しく理解ができているのかという点をメインに着目。算数でも導入した理由について、広報室室長の斎藤貢市先生は「日常の授業を通じて、生徒たちの『聞く力』と『イメージ力』が弱くなっているのではとふと感じたことに端を発しています。これらの力が弱まったことにより、生徒たちがもつ能力を十分に伸ばし切ることができなかったり、取りこぼしてしまったりという危険性があり、フォローすべき事項でした」と話します。


視覚だけに頼らず、聴覚でも情報を得て図形などを具体的にイメージすることで、バランスの取れた力が培われます。同校ではこれまで論理的思考力と表現力を試す記述問題が出題されていましたが、この「聴解問題」を取り入れたことで、より様々な方向から生徒自身がもつ力を引き上げ、伸ばすことが可能となります。

斎藤先生によると、今年度第1回入試での「聴解問題」は6分間程度で、両科目とも試験開始直後に放送にて行われたとのことです。

「第1回入試(2月1日午前)」は計75名募集のところ530名(うち女子93名)、「第2回入試(2月2日午前)」は計40名募集で632名(同111名)、「特色入試(2月2日午後)」は計15名募集のところ289名(同56名)、「第3回入試(2月4日午前)」は計25名募集で567名(87名)の応募者がありました。

今年度入試は新型コロナウイルス感染症の影響により、感染リスクの回避などによって受験校数を絞る傾向が強まるなか、この学校を本当に望むたくさんの受験生が集まりました。昨年の第1回の出願者数は448名だったので、大幅に受験生数が増加したことがわかります。

なお、昨年度まで行われていた「第一志望入試」に変わり2月2日午後に新設されたのが「特色入試」です。これは「言語技術」または「英語」と「算数」の2科が試験科目で、この新しい入試も上記の通り多くの志願者を集め、関係者の話題をさらいました。


「言語技術」は、情報を読み取る力や読み取って応用できる力を問う「資料分析型問題」や提案型の「課題解決型問題」という問題構成となっており、ルーブリックを使って評価されるもの。同校の教育の一端がより伺えるような内容だったのではないでしょうか。
第一志望の受験生が多い同校なので、受験生たちはしっかりと対策ができていたのではと思われます。

入念な感染症対策で受験生が安心して受験できる環境を整備

新型コロナウイルス感染症が依然猛威を振るい、緊急事態宣言の最中行われた2021年入試。不安に駆られる受験生も多かったことでしょう。芝浦工業大学附属では、受験生が安心して試験を受けられるよう、以下のような対策が行われました。

・1月18日以降は完全オンライン授業を実施
・受験生は1週間前から検温等の「体調管理カード」を記入して持参(必要に応じて提出)
・発熱対応における追試験の設定(インフルエンザなどは2月6日、コロナウイルス感染症は2月18日)
・入口を正面エントランス・ゲート棟入口・駐車場側入口の3か所に分ける。混雑が予想される時間帯は入場時間を受験番号ごとに設定して密を避ける
・入口で検温および手指の消毒、各フロアにも消毒液の設置
・1教室25人程度の少人数で受けられるよう、入試会場を設定
・試験開始後の本人確認時以外のマスク着用
など

入試当日、受験生は8時30分までに試験教室に入室・着席しますが、7時20分過ぎにはすでに、正面エントランスの前には30〜40組前後の親子の姿が見られました。7時30分の開場を予定していましたが、3〜4分ほど前倒しての開場となりました。

その後も最寄りのゆりかもめ「新豊洲駅」や東京メトロ有楽町線「豊洲駅」などから、続々と受験生親子が到着し、先生方や在校生が出迎えます。この日の入試では、保護者は構内への立ち入りはできません。そのため、入口の前でしばらく励ましの言葉をかけたり、肩を叩き合ったりする親子の姿が見られました。
中には検温後、ネイティブの先生に「お母さんが手を振っているよ」と促され、窓の外の家族に手を振り返しながら、その笑顔に背中を押されたか、表情が和らいだ受験生も。

お手伝いの生徒たちは、高校生で組織される「スクールサポーター」のメンバーと進路が決まっている高3生が活躍。ある高3生は、中3で全員参加の海外教育旅行を契機に苦手意識のあった英語を一念発起。その経験を生かして「英語の教員になりたい」と思うようになり、外部受験をしたという経緯を教えてくれました。

なお、JR京葉線が人身事故により遅延しており、学校到着が遅れてしまった受験生へは別室での受験対応が迅速に取られていました。しかし上記の通り、入場時間が設定されていることもあり、混雑や大きな混乱は見られず、滞りなく入試が行われていました。

2022年に創立100周年を迎える、伝統校の芝浦工業大学附属。時代の要請を受け中学でも女子を迎え、校内はますます活気づくことでしょう。新たな章が始まり、進化を続ける同校の歴史の1ページにぜひ加わってみませんか。