受験生マイページ ログイン
受験情報ブログ

芝浦工業大学附属の2/1実施 第1回入試レポート

2023年2月1日に実施された芝浦工業大学附属中学校の第1回入試についてレポートします。

2021年の共学校化及びカリキュラムの大変革を経て、男女問わずますます高い人気を誇る芝浦工業大学附属中学高等学校。文理の枠を超えた理工系教育に加え、独自のクリエイティビティあふれる探究活動などを実践しています。2023年2月1日に実施された第1回入試についてレポートします。〈取材・撮影・文/市村幸妙〉

“芝浦工大ガチ勢”が集結!

2022年に創立100周年を迎えた芝浦工業大学附属中学高等学校。「敬愛の誠心を深めよう」「正義につく勇気を養おう」「自律の精神で貫こう」が校訓です。


同校の第1回入試は、募集人数が男女75名のところ、応募者は男子325名、女子93名で倍率は5.6倍でした。2022年度入試に比べるとやや応募者数は減少しましたが、年々上がる難度によりチャレンジ層が減り、同校への熱量がより高い受験生たちが集った結果です。

なお、2月2日実施の第2回(募集人数計40名)は12.7倍、2月4日に行われた第3回(募集人数計25名)は16.8倍〈※2/2現在集計〉と熾烈を極めた同校の入試。複数回出願が当たり前という受験生がかなりの割合を占めています。


これほどの人気の秘密は、創立より100年を通じて涵養された唯一無二の理工系の学びと自己成長を続ける人間を育む教育の賜物なのでしょう。

利便性の高い人気エリア「豊洲」に位置する

同校の最寄駅は、新交通ゆりかもめ「新豊洲駅」南口から徒歩2分、東京メトロ有楽町線「豊洲駅」6b出口から徒歩7分です。


在校生はもちろん、受験生もどちらの駅も利用していますが、有楽町線ユーザーが多い印象です。


豊洲駅から豊洲市場方面へゆりかもめに沿って向かうと学校に到着しますが、ゲート入り口の横には創立100周年記念事業により保存展示されている蒸気機関車が鎮座しています。


鉄道好きの受験生なのでしょうか。入試会場へ向かう前に蒸気機関車と共に記念撮影を行う親子の姿も見られました。

そもそもは1922年に日本鐵道中学として創立した経緯を持つ同校。校内には鉄道工学の歴史的資料を展示した「しばうら鉄道工学ギャラリー」もあり、鉄道好き垂涎のお宝が揃っています。


ちなみに、教頭の斎藤貢市先生によると、学校所在地の江東区をはじめ、都内在住の受験生・在校生ももちろん多いのですが、有楽町線で東京メトロ東西線の新木場で乗り換えるルートがあることからか、近年は特に千葉県の浦安や幕張エリア在住者が最も高い在籍生徒数を占めていて驚いたと教えてくれました。

入試当日の様子とは

開場は7時30分。8時30分までに試験教室への入室及び着席となっています。まずは8時10分、受験生向けの注意事項の放送が入ります。


なお、2021年度と22年度入試では、入場時の密を避けるべく受験生入口を3か所に分散させていましたが、今年度入試はそれ以前同様に戻し、全員が正面エントランスからの入場となりました。


7時50分までと8時20分以降はすべての受験番号の受験生が入場可能で、それ以降は8時5分までが受験番号の末尾が奇数、8時20分までは偶数の受験生の入場となります。

7時20分を過ぎた頃から受験生たちが集まりだし、ピークは7時45〜50分頃でした。中には正面エントランスの手前で、オンラインにて塾の先生に激励されている受験生もいました。

上記の番号別の入場制限による分散は、オープンキャンパスでお試しをし、特段混乱は生じなかったという実績のもと、実施されました。


先生方が思っていた通り、入試当日も混雑や混乱は見られず、受験生たちは正面エントランス前で別れた保護者から見送られ、次々に整然と校内へと入っていきます。


また、コロナ禍の2年間、保護者は校内へ入ることができませんでしたが、来年度は校内に保護者用の待機会場を用意する予定だそうです。


受験生は保護者と少しでも一緒にいられることで、より安心感を得られることでしょう。


骨折してしまった受験生や熱はないが咳が出るという受験生は別室受験となりましたが、その他の受験生はみんな元気に入試本番を迎えられていたようで、先生方もほっと一安心。

と、そんな空気の中、8時20分頃に成増駅で車両点検のため、有楽町線が全面停止という連絡が入り、先生方に緊張が走ります。


もしかしたら電車に閉じ込められて不安になっている受験生がいるのでは…と先生方はハラハラとされていましたが、同校の受験生たちは巻き込まれることなく、みんな無事に入場できていたようです。


8時30分、35分にもアナウンスが入りますが、校内の空気は緊張感に包まれます。

40分ぴったりに、「それでは試験を開始してください」というアナウンスが流れ、いよいよ同校の入試が始まります。


なお、入試当日や学校説明会などで「スクールサポーター」という、中3から高3の生徒たちがお手伝いをしています。


有志を募ったところ、毎年100人前後の生徒たちが立候補するのだそう。受験生のために役立ちたい、学校が大好きという気持ちを持っている彼らは、受験生にとって憧れであり、優しいお姉さん、お兄さんとして眩しく映ったことでしょう。

2024年度の入試変更について

芝浦工業大学附属中学校では、2024年度より入試内容の変更を予定しています。


①2月4日の第3回日程を廃止
②言語技術の入試に探究的要素を増加
③英語入試が独立


上記に伴い、入試回ごとの募集人数等も変更となります。


斎藤先生にその狙いを伺うと、第一志望者に多く、早く合格を出すためとのこと。「第一志望の生徒たちが本校の教育で伸びる生徒なのです」と話します。


「第1回(計90名)と第2回(計50名)の定員を増やして、本校で学びたいという意欲のある生徒を受け入れたい、本校を志望してくれる受験生が少しでも入りやすくしたいという思いで変更します。それにより偏差値に変化がある可能性も想像されますが、それよりも第1志望者を優先させたいという考えです」と斎藤先生。

「いずれ合格できたとしても、それまで何度も不合格の通知を受け取るのは受験生も保護者も辛いと思います。合格を早く届けたいと思っています」


なお、第1・2回を同時出願した場合、繰上げ合格の候補者になります。


また②の言語技術の入試に探究的要素を取り入れることで、より中身が濃く難度の高い入試になることが想像できます。


しかし先生方の展望は、明るいものとなっています。2020年から始まった言語技術入試で入学した生徒たちが探究の授業で活躍しており、コミュニケーションを取ることが好きな生徒が増えていることがその思いの下支えになっています。


「自分の意見を人に伝えたいという思いを持っている生徒が増えており、探究の時間により一層目立つ存在として活躍しています」と斎藤先生。

また、③の英語の試験が独立することについては、
「グローバル教育により力を入れていくというメッセージです。本校では多様性に対する教育が探究などで多く入っています。英語入試で入学した生徒がさまざまな場で活躍してくれることを期待しています。彼や彼女たちが持っている個性や力を活かすことのできる、総合探究という中学3年生の授業もスタートします」(斎藤先生)


シンガポール入試と帰国生入試も実施している同校。校内の多様性とグローバル化はますます進んでいくことでしょう。


なお、同校を目指す受験生に向けて、広報部長の杉山賢児先生は「日頃から答えがないことに対して、自分なりの仮説を立てて検証していく『問題解決思考』を養っていただきたいですね」と話します。


同校の探究では、我々の暮らしを良くするためにどうしたらいいのかを、たとえば自分がドラえもんになったつもりで、理工系のアイディアを入れながら新しいアイテム作りを考え、社会課題を解決するという授業を行っています。


「日頃から自分の問題として考えていくことで、課題解決力が育まれると我々は信じています。そういう子たちを育てていますし、日常的にアンテナを張ることで、大学や社会に出たときも生きる力を培えると思っています」(杉山先生)


いずれにしても、6年間の教育の中で生徒たちはさまざまな形で花を開かせていきます。


芝浦工業大学附属中学高等学校で育つ生徒たちの活躍が楽しみです。