コラム

英語だけではない、社会で活躍するために必要な力を育む(2/2)

未来を見据える学校 三田国際学園中学校・高等学校
教育ジャーナリスト 中曽根陽子

「世界標準の教育」で注目を集める三田国際学園中学校・高等学校。海外大学進学も視野にいれたインターナショナルクラスは、高校で1年間の留学プログラムもあり、保護者の関心も高い。今回インターナショナルクラスに在学している中学生と、インターナショナルコースに在籍し留学を終えたばかりの高校生に学校生活について話を聞いた。

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中2 K.Aさん アドバンスト
中2 N.Dくん 中1スタンダード→中2インターミディエイト
高2 T.Mさん 中1スタンダード→インターミディエイト→中3〜アドバンスト

中曽根:まず、三田国際学園を志望した理由を教えてください。

N.D:小学校では探究型の授業を受けてきたので、中学でも同じような教育を受けたいと考え、この学校を受験しました。高校で1年間留学できる制度があったことも魅力でした。

K.A:10年間アメリカで過ごしていたので、日本の学校で授業を受けるのが不安だったのですが、この学校ならオールイングリッシュの授業が受けられるので、英語力を維持できることと、キャリア教育やサイエンス教育が充実しているので自分の視野が広げられると思い志望しました。国際生入試で受験しましたが、考えさせる問題が多く入試でも成長できたと思いました。

T.M:小さい頃から海外ドラマが好きで英語が好きだったので、英語に力をいれている学校を探して受験しました。思考力を問われるような問題が多く難しかったです。入学時の英語のレベルは英検3級で、英語のクラスはスタンダードでした。休み時間を利用して積極的にネイティブの先生と話したりしながら、英語力を高めていき、中1の 2学期に試験を受けてインターミディエイトに、中3で アドバンストに上がりました。

中曽根:インターナショナルクラスの授業の様子について教えてください。

K.A
:アドバンストは、英語で考える授業が中心です。海外経験がある人がhoyほとんどですので、友達との会話はほぼ英語ですね。今は、ホラー文学を読んで、その中でプロがどのような技術を使っているかをディスカションしながら深く分析した後、オリジナルの作品を作っています。題材に使われている作品は、海外の学校でも使われているものです。アドバンストでは、国語以外の主要教科をインターナショナルティーチャーが英語で行います。社会問題などを英語で議論する機会が多く、それが英検1級のライティングのテストに役立ち合格できました。アメリカにいる時以上に英語力は上がっています。

N.D:スタンダードクラスは、英語で英語を学ぶ授業が中心ですが、講義を聞いて文法を学ぶのではなく、ゲームなどを使って英語と戯れながら、実践的な英語を身につけることができます。また、毎日動画が配信され、その要旨をまとめる英語ノートという課題もあります。英語以外の授業は日本語で受けますが、どの授業も、単元の共通知識を習得してから、ディスカションやディベートなどを行う探究型の授業です。
インターミディエイトの授業は、大きく分けて3種類あり、全て英語で行われています。一つは文法の授業、もう一つが、英語の本を読んで要旨をまとめるという授業、もう一つが1学期に2回行われるプロジェクトという授業です。プロジェクトは、1回に6〜7コマ使って、漫画を作ったり、短編動画を作ったりしています。現在はウソの内容をドキュメンタリー風に作るモキュメンタリーという作品を作っています。チームでディスカションをしながらストーリーを考え、役割を分担してipadで撮影したものを、imovieで編集して3分弱の作品に仕上げます。英語の授業のレベルは高く、入学時より着実に英語力は上がっていて、英語で考えられるようになりました。

中曽根:入学後から現在までの、ご自身で感じる変化を教えてください。

N.D:この1年間で、全校生徒の前でプレゼンをしたり、音楽会で指揮をしたり、いろいろな経験をすることができました。この学校では、「貢献する」ことを心がけるように教えられているので、自分も積極的になれるし周囲も応援してくれます。学校が掲げるコンピテンシーを獲得するために学校生活を送っているということを確認する機会があるので、例えば指揮をした時も、自分がどういう行動をすればみんなが付いてきてくれるのか、どういう声かけをすればやる気が出るかなどを考えながら行動する中で、コミュニケーション力やリーダーシップを身に付けることができたと思います。この学校では、先生から与えられるのではなく、生徒中心で学校生活が進んでいきます。その分責任も生まれますが、だからこそ成長することができています。

K.A:私は、考える力が伸びたと思います。この学校では、行事の運営も生徒に任されることが多いので、どうしたらいいものができるかを考えることで、より積極的になるし思考力が身につきます。授業でも、例えば「正義とは」というような難しいテーマについてプレゼンをするなど、ハードルが高いのですが、そこに向かって頑張ることで成長できるし、社会に対する関心が高まり、学びたいという意欲も生まれてきます。授業で飽きることはありません。

中曽根:留学から帰ってきたばかりですね。留学をして得たこと、気づき、自分で感じる変化などを教えてください。

T.M:はい。私は高1の8月から高2の6月まで10ヶ月間、アメリカの公立高校に留学してきました。
留学で得たことは、英語力はもちろんですがそれ以上に、家族や友人、先生の大切さに改めて気づき、身近な人への感謝が生まれたということが一番大きいです。最初の3ヶ月は、想像していたより大変で、ホームシックになりました。東京とはまったく違う環境にショックも大きかったですし、不安もあったのです。でも、そこを乗り越えたらアメリカでの生活を楽しめるようになりました。
英語の授業は三田国際で慣れていたので問題はなかったのですが、学校生活の中でわからないことや困ったことがあった時には、周りの仲間が助けてくれました。最初に声をかけてくれた友達が親友になりましたが、彼女はレズビアンでした。私は、アメリカ社会はLGBTに対して寛大なのかと思っていましたが、そうではないことを知り驚きました。ホームステイ先の家族も、滞在中に三人の子供達にはそれぞれ、様々な出来事が起こりました。しかし、そうした状況でも、家族間で自分の考えを正直に話している様子を見て、躊躇せずに話をすることが大事だということを感じました。私は、人前で話すことや、自分の気持ちに正直に話すのが苦手だったのですが、アメリカでは家族間や授業でも発言することが求められるので、以前より積極的になれたと思います。


勉強面では、三田国際学園で受けていた授業と同じようなレベルでしたので問題はなかったです。今、英語力の成長も実感しています。帰国後先生と英語で話していた時、留学前は知らなかった難しい単語が次々とでてくることに、私自身も先生も驚いていました。ただ、英語力に関しては、使わないと落ちてしまうので、ネイティブの先生と話をして更に伸ばすように努力したいと思います。進路については、出発前は国際系と思っていましたが、留学を通して視野も広がり、興味があることがたくさん出てきたので、これからじっくり考えたいと思っています。

【取材を終えて】
「有名大学卒業がゴールではない」と考える保護者にとって、「社会で活躍するために必要な力を育てる教育」は魅力的なキーワード

三田国際学園は校名を変えて共学化してから5年。まだ中学からの入学者の大学合格実績が出ていないにも関わらず、人気が高まっている首都圏の注目校の1つです。その理由の一つが、今回取材したインターナショナルコースの存在でしょう。帰国生だけでなく、英語が0ベースの生徒でもチャレンジできるというのは魅力的です。実際今回取材に応じてくれた生徒さんもスタンダードから始めて上位クラスに上がっていっていました。かなり勉強もしているのでしょうが、一様に学校の授業は楽しいと言う答えが返ってきました。かなり突っ込んで質問もしたのですが、やらされ感がないのが印象的でした。それは、単に英語力をあげるとか、大学受験の対策をする授業ではなく、学園長の言葉を借りれば、この学校が「子ども達が社会で活躍するために、中等教育の6年間でその根幹となる力を育てること目標に据えて、すべてのプログラムを作っている」からなのでしょうか。オールイングリッシュの授業も留学制度もトリガークエスチョンによる相互通行型の授業も全て12のコンピテンシーを達成するための材料の一つと言う訳です。生徒の口からは、度々「貢献」という言葉が出てきましたが、授業でも行事でも、この場に対して自分がどんな貢献ができるのかを意識しながら、学校生活を送っているという彼らには、主体性と共創という意識が育っていると感じました。同席された今井教頭先生の、「生徒たちが変化していく姿を見るのが教師としては一番嬉しいことだ」という言葉も印象的でした。教師も生徒も一緒になって、新しい学びの場を作っているそんな印象の学校でした。受け身ではなく自分から動くことが好き、探究心がある、チャレンジをおもしろがれる子には、可能性を拓くさまざまなチャンスが用意されている学校だと思いました。

中曽根陽子/教育ジャーナリスト、マザークエスト代表 

教育機関の取材やインタビュー経験が豊富で、紙媒体からWEB連載まで幅広く執筆。子育て中の女性に寄り添う視点に定評があり、テレビやラジオなどでもコメントを求められることも多い。海外の教育視察も行い、偏差値主義の教育からクリエイティブな力を育てる探求型の学びへのシフトを提唱し、講演活動も精力的に行っている。また、人材育成のプロジェクトである子育てをハッピーにしたいと、母親のための発見と成長の場「マザークエスト」を立ち上げて活動中。『一歩先いく中学受験 成功したいなら「失敗力」を育てなさい』(晶文社)、『後悔しない中学受験』(晶文社出版)、『子どもがバケる学校を探せ! 中学校選びの新基準』(ダイヤモンド社)など著書多数。ビジネスジャーナルで「中曽根陽子の教育最前線」を連載中。
オフィシャルサイト  http://www.waiwainet.com/
マザークエスト  https://www.motherquest.net/