コラム

中学受験する?しない?

AI時代に力を発揮するために 親子で伸びる!中学受験
教育ジャーナリスト 中曽根陽子

減少傾向にあった中学受験者数は、ここ数年ゆるやかな上昇傾向に転じ、首都圏では小学6年生の人口増も見込まれることから、来年も増加が予測されています。低学年のお子さんをお持ちの方は、中学受験をさせるかさせないか、悩まれている方も多いのでは。そこで今回は、それぞれの選択のメリットデメリットを考えてみましょう。

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教育改革を見据えて、中学受験者数が増加傾向

リーマンショック以来減少傾向にあった中学受験者数は、ここ数年上昇傾向で、2018年首都圏私立中学2月1日午前試験の実受験者数は 37,869名で、対前年比102.7% でした。来年も首都圏では小学6年生の人口増も見込まれることから、中学受験者数も増加が予測されています。
ここ数年の増加の要因は、景気の回復もあると思いますが、特に今年の数字については、2020年からの大学入試改革*(センター入試が廃止され、大学入学共通テストが導入されることに代表される教育改革のことを含む)の影響が大きいと専門家の間では言われています。
*大学入試改革については、こちら

センター入試に変わる、大学入学共通テストの全容がわからない今、内部進学の保証のある学校に入れておきたいと考える保護者が増えている影響から、大学付属校に受験生が集まっていたり、教育改革の流れを受けていち早く21世紀学力の育成を掲げた学校に注目が集まったり、保護者の方もその動向に敏感なようです。子どもには苦労をさせたくない、または、未来を見据えて最上の環境を与えたいという気持ちが強いのだなと思います。

いつする? 受験

これは、日本の主な進路図です。

これまで六・三・三制と呼ばれる教育制度が定着してきましたが、公立中高一貫校が設置されたことで、六・六制が一般化されました。さらに、小中一貫教育の制度化も検討されていて、東京都は小中高一貫校を設置すると発表しました。中には、学習指導要領によらないオルタナティブスクールを選択する人もいます。最近は、国際バカロレアの導入や、主に不登校の子ども達の受け皿であるフリースクールの義務教育化が検討され「教育機会確保法」が施行されるなど、日本の教育制度もだいぶ多様性が生まれてきつつあります。どの進路が子どもの育ちにとって有効なのかは、専門家の間でも意見が分かれるところですが、選択の幅が広がるのはいいことだと私は思っています。

地域によっては学年の半数以上が中学受験をするところもありますが、とは言っても、全体で見れば中学受験比率(2月1日受験者数÷1都3県公立小学校卒業予定者数)は13.7%。全体から見れば、決してメジャーなわけでもありません。なので、中学受験をするかしないか・・・お子さんの最初の進路選択に迷われる方も多いのではないでしょうか。

中学受験と高校受験の違いはどこに?

いずれにしても、皆さんのお子さんはこれらの選択肢の中から、どこかのタイミングで受験をすることになります。その中で、多くの人にとって関係があるのは、中学受験をするか、高校受験でいくかという中等教育の選択です。
そこで、中学受験を選んだ場合と高校受験選んだ場合の違いを見てみましょう。表を拡大

まず、両者の大きな違いが、最初に述べたように、6年一貫教育か否かです。中学受験を選択すれば、高校入試のための勉強に時間を割く必要がありません。その分、ノビノビと部活や学校生活に取り組める点や、一貫校ならではの充実したカリキュラムを評価する声が多くあります。
一方、高校受験を選択するケースでは、小学生の間はノビノビと過ごさせたいとか、塾に時間を割かず他のお稽古を続けさせたいとか、夕食を家族でとることを最優先したいと言う人もいます。しかし、中学に入ると割とすぐに高校受験のための準備を始めなくてはなりませんから同じかもしれませんね。

選抜方法も中学と高校では大きく違います。高校受験は、地域によって制度が異なりますが、多くの学校で内申点や面接などが加味されます。なので、特に中学受験を選択した男の子の親からは、「内申点が重視される高校受験より、学力試験で結果が出る中学受験の方がいい」という意見が聞かれます。これは、高校受験は、ちょうど反抗期にも重なるので、先生との相性などが内申点に影響を与えることがあるということを危惧するからです。高校募集をしない学校も増えているので、高校受験を選択する場合には、志望校が高校募集をしているかどうかを調べておいた方がいいでしょう。
環境面では、中学受験を選択した方からは、「同じような家庭環境で価値観を共有できるお友達ができるから安心。一定の学力が担保されている中で切磋琢磨する方が大学受験に有利じゃないか」という声があります。一方で、「公立中学の方が多様性があっていい」という意見もあります。
みなさんは、どう考えますか?

親の役割 中学受験は2人3脚 高校受験はサポーター

受験する子どもの年齢が違うので、親の関与度や影響の大きさも違います。
中学受験の場合は、選択するのはほぼ親の意思が先にありながら、勉強するのは子どもなのでそこにジレンマが起こりやすいです。これまで受験生を取材した経験からは、中学受験に向いているのは、成長の早いしっかりしたお子さん。あるいは素直なお子さんだと思います。
学校選びも中学受験では、ほぼ親の仕事です。その点、高校受験は子どもも、これから先は義務教育ではないということで、進学を自分のこととして捉えやすいし、学校も自分で選ぶことができます。
中学受験・高校受験どちらが良いかは一概に言えませんが、私は、中高一貫教育は、子どもから大人へと成長する時期に、心身の発達段階に合わせて教育をしやすい制度ではないかと思っています。どちらにしても、いつ受験をするのかによって準備も変わるので、早めにご家庭の方針を家族でよく話し合っておいた方がいいでしょう。

参照:『一歩先行く中学受験 成功したいなら「失敗力」を育てなさい』中曽根陽子著(晶文社)

中曽根陽子 [教育ジャーナリスト マザークエスト代表]

教育機関の取材やインタビュー経験が豊富で、紙媒体からWEB連載まで幅広く執筆。子育て中の女性に寄り添う視点に定評があり、テレビやラジオなどでもコメントを求められることも多い。海外の教育視察も行い、偏差値主義の教育からクリエイティブな力を育てる探求型の学びへのシフトを提唱し、講演活動も精力的に行っている。また、人材育成のプロジェクトである子育てをハッピーにしたいと、母親のための発見と成長の場「マザークエスト」を立ち上げて活動中。

『一歩先いく中学受験 成功したいなら「失敗力」を育てなさい』(晶文社)、『後悔しない中学受験』(晶文社出版)、『子どもがバケる学校を探せ! 中学校選びの新基準』(ダイヤモンド社)など著書多数。学研キッズネットfor parents で「AI時代を生き抜くために 失敗力を育てる6つの栄養素」ビジネスジャーナルで「中曽根陽子の教育最前線」を連載中。
オフィシャルサイトhttp://www.waiwainet.com/