コラム

女子ゴルフ山口すず夏選手。「学校から世界へ」インタビュー④

〜私の未来〜(4/4)

「学校から世界へ」第3回アスリートは、世界のトップが集結する全米女子オープンに14歳で出場(日本人女子の海外メジャー最年少出場記録)。今年1月に行われたオーストラリアアマチュアゴルフ選手権では日本人初制覇と、女子ゴルフ界で非凡な才能を発揮している、共立女子第二高校の山口すず夏(やまぐち・すずか)選手です。【取材日:2018年5月28日】(文:金子裕美 写真:永田雅裕)

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今後の目標は?

--ジュニアゴルファーは親がかりなので、してもらうのが当たり前という子もいると聞きますが、山口さんは自立(自律)していますね。

山口さん たしかに小学生の頃は、ゴルフ場に着くと、常にお父さんにキャディーバッグを運んでもらっている子はいましたが、そういう気は全然なかったです。自分から「自分でやる」って(笑)。父もキャディーをやる時は持ってくれることもありますが、そうじゃない時は別に「持つよ」というわけでもないので、身の回りのことは自然と自分でやっていました。高校生になって、これからもっと一人で動くことが多くなると思うので、練習方法も父に頼らず、なるべく自分で考えて決めていきたいと思っています。

--今の目標は?

山口さん 一番は東京オリンピックです。2000年生まれなので、オリンピック期間中に20歳の誕生日を迎えます。オリンピックはその4年後にもありますが、自分が現役でやっているうちに東京で開催されることはなかなかないことだと思うので、年齢的に厳しい状況ではありますが、目指したいと思っています。オリンピックに出場するためには、(大会成績によりもらえる)ポイントを積み重ねていかなければなりません。今年、来年が勝負の年なので、海外の試合やプロの試合に出て、トップに立っている畑岡奈紗ちゃんや鈴木愛さんらに食い込んでいきたいと思っています。

--年齢的に厳しいとは?

山口さん ゴルフはまずプロになっていなければいけないんです。私がプロテストを受けられるのが来年なんですね。プロテストを受けるとなると、そのために多くの時間を取られてしまうので、大会で優勝するなど、(プロテストを受けずに)プロになれるように頑張っています。
それから、アメリカで世界ランク1位になるという目標もあります。宮里藍さんがメジャーで優勝できなかったので、メジャーで勝つということも、目指していきたいと思っています。

--そういう大きな目標を目指す自信がついたのはいつ頃ですか。

山口さん 自信があるわけではないのですが、ハッキリとそう思うようになったのは、中3の時に初めて海外の試合(全米女子オープン)に出させてもらって、世界のトッププロがいる中で自分もこういう人たちと戦っていきたいなと思ったのがきっかけです。

世界のレベルの高い相手と戦いたい気持ちが強い!

--最近、海外の試合に挑戦しているゴルファーは多いのですか。

山口さん ジュニアの試合で海外に出る子は多いですが、シニアの試合に出る人はそんなに多くないと思います。プロの方に「海外でやりたいと思いますか」と聞いても、「今は日本でいいかなと思っている」という人が結構いて、「そうなんだ」と思いました。たしかに日本できちんと活躍するということも大切です。でも、日本よりもアメリカのツアーの方が強い人たちがたくさんいると思うので、自分はそこで戦いたいという気持ちのほうが強いです。

--中学生の時から海外の試合に挑戦しているのは、根底にそういう思いがあるからですか。

山口さん そうです。

--では英語を頑張らないといけませんね。

山口さん 頑張ってはいるのですが、なかなかしゃべれないです(苦笑)。高2まで外国人の先生と会話をする授業があって、それはとてもよかったです。今年は受験対策の授業が中心で英会話の授業はないのですが、ネイティブの先生とは学校の中で日常的に話すことができるので、(こうした環境の中にいられるうちに)頑張って語学力を磨きたいと思います。

--ゴルフをやってきて一番よかったと思うことは?

山口さん 全国に友だちができたことです。普通の生活を送っていたら、学校や塾の子が中心になると思いますが、それ以外にも北海道から沖縄まで、たくさんの友だちができました。小さい頃は、その子たちに会うために頑張って全国大会に出る、というのがモチベーションになっていました。

--競技のおもしろさはどんなところに感じていますか。

山口さん (戦うのは)相手ではありません。自分との戦いです。そこがゴルフの難しいところであり、おもしろいところだと思います。その時のコンディションにより飛距離が10ヤード以上変わります。練習では狙いどおりにボールが飛んでいても、コースに出ると狙いどおりにいかず、いきなりボールが曲がり出したりすることもあるので、心身の管理をしっかりしなければいけません。練習では、なるべくコースを設定して、練習場の狭い幅に狙いを定めて打つ練習をしています。トーナメントは、数日間続くので体力も重要です。いろいろなことがうまくいった時に成績がついて来るので、奥が深いです。

--試合中のルーティンはありますか。

山口さん 歌が好きなので、(コースを歩いている時に)自然と出てきます。調子のいい時は歌っていると思います。

--お気に入りの曲は?

山口さん いろいろな人の歌を聴くのですが、今は体育祭に向けてダンスの練習をしているので、そこで使っているAAAの「LIFE」など、体育祭絡みでよく耳にする曲をリピートしています。私は体育祭の日にいないので参加できませんが、学校生活の中で耳にしている曲は(ラウンド中に)自然と出て来るし、力になります。

--ゴルファーとして心がけていることを教えてください。

山口さん 最近はゴルフを楽しもうと思っています。父にも「一番は楽しみながらやることだよ」と言われているので、笑顔を大切にしてプレーすることを心がけています。ミスをすると悔しい。ハァと思う(落胆する)。怒っちゃう人もいます。私は怒りませんが、気持ちを押さえる必要はないと思っています。ミスを受け入れて、次に進むことが大事。たくさん試合に出て、経験を積むにつれて、そういうところも成長していきたいなと思っています。

【ゴルフ部顧問/池田先生談】

設備が充実!初心者から上級者までが一緒に活動

本校のゴルフ練習場は、打ち込みができる場所とパターが練習できるグリーンがあります。テニスコートも9面あります。ここまでの設備を持っている学校はあまりないと思います。ゴルフ部の部員数は中高合わせて約40名(中学生は約10名)です。山口さんのようなトッププレーヤーもいれば、初心者に近い子もいるので、実力に応じて練習の仕方を工夫しています。例えば、毎週月曜日はPGAのコーチに来てもらい、初心者を中心に指導を受けています。土曜日の放課後は、試合に出られるような子たちを中心に近所のゴルフ場に行かせてもらい、ボール拾いや目土(ディポットを埋める)作業をしながらハーフラウンドさせてもらっています。70台のスコアで回れるのは10名くらいです。全国大会のメンバーに入るには、73〜74で回れる力が必要になっています。
山口さんと一緒にゴルフをやりたい、という子が多く、この4月には全国大会レベルのジュニアゴルファーが入試を受けて入ってきてくれました。彼女の背中を見て、勉強とゴルフを両立できる選手が育ってくれればいいと思っています。