コラム

中学受験 子どもが伸びる塾をどう選ぶ?

AI時代に力を発揮するために 親子で伸びる!中学受験
教育ジャーナリスト 中曽根陽子

中学受験の準備は塾選びから始まっていると言っても言い過ぎではありません。しかし、友達も通っているから、合格実績がいいから、という単純な理由で塾を選んでいる人が案外多いようです。でも実際は、子どものタイプやどんな受験をイメージしているかによって最適な塾も変わります。そこで今回は塾選びのポイントを整理して紹介します。すでに通塾しているけれど塾を変えようか悩んでいるという人も参考にして下さい。

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子供のタイプに合った塾選びとは?

 公立と私立では、受験対策が異なりますが、中学受験をしようと決めたら、たいてい進学塾に通うことになると思います。どこでも一緒ではありません。中学受験専門の大手塾から、地域密着型の小規模塾、そして個別指導の塾、通信教育まで、種類やアプローチもさまざまです。
 例えば、成績によってクラス替えや席替えを行う塾と、行なわない塾があります。クラス替えがある塾は大規模な塾が多く、大勢の中で競わせるのですが、こういう塾は競争するのが好きで、競い合うことでやる気が出る子ども向きです。反対に、プレッシャーに弱く、競争が嫌いなお子さんには、クラス替えを行なわない小規模な塾で、講師にじっくり見てもらいながら力をつけていく方が、伸びることが多いようです。

また、分からないことがあった時に、自分からどんどん質問できる子どもと、反対に声をかけてもらわないと自分の思っていることを伝えられない子どもがいます。後者の場合、講師が頻繁に変わる塾ですと、打ち解けるのに時間がかかりますし、大勢の中で埋もれてしまって、分からないところもそのままやり過ごしてしまうことになりかねません。できれば専任の割合が高く、講師の目が行き届きやすい塾を選んだほうがいいといった具合です。カリキュラムの進め方も、予習主義と復習主義があります。どちらもメリットはありますが、予習主義の方がより自発的に学ぶ姿勢が必要ですから、好奇心が強い子ども向き。他に優先したいお稽古ごとがあったり、マイペースに学習をしていきたいお子さんは、個別指導の塾や通信教育を利用するのもいいでしょう。また、最近は上記いずれにも当てはまらない探究型の学習を行なう塾もでき始めています。しかし、現状の中学受験で、難関校合格を目指すなら、それなりの対策と努力は必要です。
 いずれにしても、進学実績や皆が行くからという理由だけで決めるのはNG。お子さんのタイプ、家庭の方針や事情と照らし合わせて、必ず塾に足を運んで、お子さんにあった塾を選びましょう。

タイプ別 塾の特徴と向き不向き

 中学受験の塾といってもその運営システムや学習スタイルはさまざま。子どものタイプや家庭の考え方によっても基準はさまざまでしょう。まずは、カテゴリーに分けてその特徴と向き不向きをまとめてみました。
①中学受験専門大手塾
【特徴】
・ 中学受験のデータが豊富で、カリキュラムや教材、ノウハウが確立している。
・ 母集団が大きいので、全体の中での位置を把握しやすい。
・ きめ細かい個別対応は期待できないので、成績が振るわない場合、お客さんになってしまう可能性もある。
【向き・不向き】
成績別クラス編成をしているので、その中で切磋琢磨できる子向き。競争に弱い子や成績下位者は、それがプレッシャーになる場合がある。

②地域密着型中小塾
【特徴】
・大手塾から独立したケースが多く、ベテラン講師が多い。移動もすくないので、一人一人に目が届きやすく、めんどうみが良い。
・少人数制の塾が多いので、比較されずにすむ反面、受験生全体の中での位置が分かりにくい。
・個別対応など融通がつきやすい反面、塾の方針が明確で特定の学校に強い場合、志望校選択に影響する場合がある。講師との相性が悪いと逃げ場がない。
【向き・不向き】
じっくりと受験準備を進めたい。どちらかというと、スロースターターで大手塾のペースに合わない子向き。それぞれの塾の個性が強いので、その方針にあうかどうかを見極める必要がある。

③個別指導塾
【特徴】
・時間を自分で選べるので、他のお稽古ごとも並行して続けやすいが、割高である。
・1対1あるいは2対1で指導を受けられるので、分からないまま先に進むことがない。
・アルバイトの講師が多く、どんな先生に当たるかで運不運がある。
【向き・不向き】
集団指導が合わない子向き。マイペースで競争がないのでストレスは少ないけれど、自分の実力を客観的に判断しにくいので、親の関与とモチベーションの維持が必要。

④家庭教師
【特徴】
・1対1で指導を受けられるので、理解度や目的に合わせて勉強を進められる。
・家に来てもらえるので、通塾の時間が短縮できるが、金銭面の負担が大きい。
・他との切磋琢磨がない。
【向き・不向き】
個別指導と同じく、集団指導が合わない子向き。実際は、集団指導塾に通いながら、苦手教科のフォローとして利用するケースがほとんど。

⑤通信教育
【特徴】
・安価で手軽に始められる。
・分からないところをすぐに解決しづらい。
・継続が難しい。親のフォローが必要。
【向き・不向き】
近くに塾がないが受験をしたい。習い事との両立をしたいので、塾に通う時間がないといった理由で選択するケース。やってみて、受かったところにいければいいと考えるマイペース型の受験生も多い。自力で勉強できる子向き。

塾選びの7つのチェックポイント

 このように、一口に中学受験の塾といってもルートは様々です。合格実績や口コミ、周りの評判も参考にはなりますが、我が子にとって良いかどうか判断するのは親の仕事です。情報はネットでも調べられますが、やはり実際に自分の目で確かめることが大事。通える範囲で候補の塾を絞ったら、実際に親子で足を運んで責任者から話をきいたり、体験授業を受けてみて決めましょう。
以下に塾選びのポイントをまとめてみましたので、参考にしてください。

塾選びの7つのチェックポイント
1. 塾の方針:中学受験に対してどういう考え方をしているか、親の関与度など。
2.カリキュラムと教材:予習型・復習型、専任講師の有無など。
3.クラス編成やコース分け:1クラスの人数、クラス分け、志望校向けコースの有無や基準。
4.授業時間と費用:1週間のコマ数。夏期講習や志望校別講習、模擬試験なども含めた卒業までの総費用。
5.質問への対応:分からないことがあった時に、誰が、いつ、どのように対応してくれるのか。
6.合格実績:どの学校に強いのかを見る。ただし、公開テストや単科だけ受講している受験生の数を含んでいる場合もあるので、深読みが必要。
7.送迎・お弁当の有無など:家庭の事情や考え方と一致するか。

 どんなに考え抜いて選んだとしても、通い始めてみればきっと山あり谷ありのはずです。入れてしまったら塾にお任せとか、塾のいいなりとか、反対に成果が出ないと文句をいうのではなく、じょうずに活用しましょう。そのためにも、なぜ受験をするのか。何を優先するのかなど、塾に入れる前に、受験への向き合い方をよく家族で話し合い、方針を決めて臨むことが大切です。
 いずれにしても、受験は子どもが限界に挑戦し、ハードルを越えるチャレンジです。そのチャレンジの応援団として、塾の先生とも信頼関係を保ちなら、共にゴールに向かえるといいですね。

中曽根陽子 [教育ジャーナリスト マザークエスト代表]

教育機関の取材やインタビュー経験が豊富で、紙媒体からWEB連載まで幅広く執筆。子育て中の女性に寄り添う視点に定評があり、テレビやラジオなどでもコメントを求められることも多い。海外の教育視察も行い、偏差値主義の教育からクリエイティブな力を育てる探求型の学びへのシフトを提唱し、講演活動も精力的に行っている。また、人材育成のプロジェクトである子育てをハッピーにしたいと、母親のための発見と成長の場「マザークエスト」を立ち上げて活動中。