コラム

中学受験 いつから準備を始めればいいの?

AI時代に力を発揮するために 親子で伸びる!中学受験
教育ジャーナリスト 中曽根陽子

私が開催する中学受験のセミナーでも、未就学児の保護者の姿が多く見られるようになりました。2020年の教育改革を前に、早めに情報を知っておきたいということのようです。では実際にお子さんの中学受験を考えた時に、その準備はいつから始めればいいのでしょう?

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中学受験の準備は新小学4年生から始めるのがいい?

前回の「中学受験をする?しない?」で、中学受験と高校受験の違いを紹介しました。中学受験をすると決めた場合、その準備はいつから始めるのがいいのか、経験した親御さんに聞くと、やはり小学3年生の3学期、塾で新小学4年生のコースが始まる2月から塾に通い始めたという人が一番多いです。中学受験対応の進学塾の多くがその時期からコースを設定しているからですね。その時期から始めるメリットを塾の関係者は、「塾のカリキュラムは4年生~6年生の3年間で、中学受験に必要な学習をすべて網羅し、受験対策の実戦的学習まですべて行うようにできているから」と言います。

確かに中学受験でこなさなければならない勉強量は、通常の学校の学習量とは桁違いですし、内容も高度。それまで学習塾に通ったことのない子どもが、いきなり受験対策の勉強をこなしていくのはハードルが高いので、少しずつ時間をかけて慣らしていくという意味で3年間という時間はちょうどいいのかもしれません。5、6年生になると通塾回数も増えますが、3年生の間は通塾も週2回くらいなので、他の習い事との両立もできますしね。

いつから始める? それは考え方次第

しかし、なにがなんでも3年間かけなくてはダメだという訳ではありません。
実際に私の周囲でも、5年生から中学受験の準備を始めて最難関校に合格をしたケースや、他の習い事を優先し6年生から個別指導の塾に通って志望校合格を果たしたケース、無理をせずその時に入れる学校を選択したケースなどさまざまです。

5年生から塾に通い出して最難関校に合格したS君は、入塾当初は特に算数がちんぷんかんぷんで、先生が何の話をしているのか分からなかったと言います。しかも計算が遅くて問題を解くのに時間がかかりついていくのが大変だったそうです。そこで、お母さんは最低限のことをしっかりやるという方針を立てて、毎日計算ドリルを欠かさずやり続けたところ、やればやるほどできるようになるので楽しくなり、半年くらいで授業の内容も理解できるようになりました。もちろんずっと順調だった訳ではありませんが、「計算早くなったね」「この前間違っていた問題もできるようになったね」と、意識して小さな進歩を褒めたことで自信がついたと言います。

一方6年生から準備を始めたK子ちゃんの場合は、公立中学に進学する予定だったのですが、仲の良いお友達がみんな受験をすることから自分も受験をしたいと言い出したそうです。一般の塾はすでに志望校対策に入っているので間に合わないし、習いごととも両立することを条件にしたので、完全1対1の個別指導塾を選択。志望校が決まっていたので、塾の先生と相談しその学校への合格ロードマップ描いて、習いごとの間の隙間時間を完全活用して集中して取り組み、みごと志望校に合格しました。
逆に1年生から進学塾に通い、最初は良かったけれど高学年になるに従って成績が伸び悩み、最終的に結果が振るわなかったというケースもあります。

もう一つのケースは、ちょっとのんびり屋のT君。低学年から通っていた補習塾の中学受験コースに通い、無理やり偏差値をあげるのではなく入ってから伸ばしてくれそうな学校選びを心がけた結果、行きたい学校が見つかり合格を果たしました。体験授業で、新聞作りの課題に熱中して取り組んでいた時に、「たくさん時間をかけていいよ。待っているからね。」と声をかけてくれた先生との出会いから、「ぜったいあの学校にいきたい」と子ども自身がやる気を出したそうです。

どれもレアなケースと思われるかもしれませんが、どういう受験をするかはその家庭の考え方や子ども次第です。一般的には中学受験には3年間の準備が必要と言われていますが、最近は新型入試を行う学校も増えているので対策も様々です。

「なんとなく」では結果はでない。始める前に方針を決めよう

いずれにしても、受験には合否という結果がはっきりでるチャレンジです。合格を勝ち取るためには、子ども自身が合格したいという強い気持ちを持つことが大切です。
例に出したK子ちゃんのように、自分から受験をしたいと言い出した場合には、やる気を見せない時にも「言い出したのはあなたなんだから」と親も強気でいけるかもしれませんが、多くは、最初は子どもの意思というより、親の意向が先にくることが多いと思います。それでも、受験をするのは子どもです。
なぜ中学受験をするのか親の考えをきちんと伝え、子どもの気持ちも確認しながら取り組んで欲しいと思います。
なんとなく入塾テストを受けて、なんとなく受験勉強を始めて、子どもがやる気にならないと悩む方が多いように思いますが、子どもの身になって考えてみれば、目的がはっきりしないのに、モチベーションが湧かないのも当たり前ではないでしょうか。
いつから始めるにしても、どんな受験にするにしても、やると決めたら本気で取り組むことが大切です。
なんのために受験をするのか、なにを優先順位にするのかをよく考えること。そして、あくまでも選択権はこちらにあるということを忘れずに、自分の家ではどんな受験をするのかをぜひ考えてみてください。

中曽根陽子 [教育ジャーナリスト マザークエスト代表]

教育機関の取材やインタビュー経験が豊富で、紙媒体からWEB連載まで幅広く執筆。子育て中の女性に寄り添う視点に定評があり、テレビやラジオなどでもコメントを求められることも多い。海外の教育視察も行い、偏差値主義の教育からクリエイティブな力を育てる探求型の学びへのシフトを提唱し、講演活動も精力的に行っている。また、人材育成のプロジェクトである子育てをハッピーにしたいと、母親のための発見と成長の場「マザークエスト」を立ち上げて活動中。