コラム

中学入試期間中のSNS使用について。「見ない、書かない」も賢い選択

教育ジャーナリスト おおたとしまさ

たまたま電源を入れたスマホで、よそのお子さんがその学校に合格したという投稿なんかを見てしまう。そうすると、心がざわついてしまい、平静でいるのが困難になります。中学入試期間中はSNSを「見ない、書かない」と決めてしまうのも1つの手。すべての中学受験生とそのご家族が笑顔で中学受験を終えるために、ぜひ、ご一読ください。

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すでに多くの地域で中学入試本番が始まっていますが、特に私立中学が多い東京都と神奈川県では、2月1日から5日に入試が集中します。

親の緊張感は子供に伝わりやすいので、親がリラックスすることは重要だと思います。親が不安になってしまいそうなときは、すべての入試が終わって、とにかく家族で笑顔になっていることをイメージしていればいいと思います。もうここまで来たら、絶対にネガティブなことは言わないと決めておくのもいいと思います。

子供がそわそわしているなら、「いつもどおり、目の前のことに集中しよう」「みんなも緊張しているから条件は同じ」「もし自分が緊張していると思ったのなら、自分の状態を客観的にとらえることができているだけ冷静だということ。本当に緊張していたら自分が緊張していることに気付けない」などと伝えて落ち着かせてあげましょう。

入試当日、かっこつけたことや難しいことを言う必要はありません。「ここまで頑張ってこられたことだけでもお父さん・お母さんは十分にうれしい。君のことを誇りに思う。あとは思い切ってやってきなさい」と言えれば十分でしょう。

いくつかの学校を受ければ、一定の割合で“ほろ苦さ”も経験します。そんなときにかける言葉は「そういうこともある。大丈夫。次に集中しよう」でいいと思います。厳しい現実の中で、気持ちを上げる特効薬はありません。そんななかでもやるしかない。それも中学受験の経験です。

どんな「途中経過」になったとしても、親はいつもどおりにしているのが理想ですが、実際にそうしているのはなかなか精神力の要ることだと思います。ある母親は息子の中学受験期間を「あんなに長い1週間はいままで経験したことがなかった」と振り返ります。息子さんはなかなか合格が得られず、ぎりぎりまで闘い抜き、最後の最後にようやく合格を手にしたのでした。

特にわが子が不合格に打ちひしがれているというのに、たまたま電源を入れたスマホで、よそのお子さんがその学校に合格したという投稿なんかを見てしまうと、心がざわついてしまい、平静でいるのが困難になります。そうなるとお子さんにまで心理的な悪影響がおよぶ可能性だってある。

ある母親は、中学入試本番前に、スマホからSNSアプリを削除したそうです。結果的にはお子さんは第一志望に合格し、すぐに喜びを投稿したい気持ちはやまやまでしたが、実際にはすべての中学入試が終わるとされる時期まではアプリを再インストールしませんでした。まだ必死に闘っている子供たちがいるからです。その子たちの闘いが終わるまでは、まだSNSに触れるのはやめておこうと決めたのです。

中学入試期間中はSNSを「見ない、書かない」と決めてしまうのは賢い判断だと私は思います。

念願叶って第一志望合格を手にしたときにも、SNSに喜びを書き込むのはちょっと待ってみたらどうでしょう。つらい現実を突きつけられながら、それでも「明日の入試に集中しよう」と必死に頑張っているご家族がまだいるはずですから。SNSを見る見ないはそのひとの勝手なのですが、合格報告を何日か遅らせたって、誰も文句は言いません。報告したいひとには直接連絡すればいい。「良い結果」を得られたのならなおさら、それくらいの心の余裕はもててもいいはずです。

都内のある中学受験塾では毎年、塾生のすべての入試が終わるまで、合格報告を掲示しないことにしています。入試期間中、午前中の入試を終えた塾生が、翌日の試験に備えて自習室にやってくることが多いからです。彼らには他人のことを気にせず、目の前のことに集中させてあげたいからです。合格を喜ぶのは、すべての塾生が闘いを終えてからにしようと決めているのです。

最後の入試が終わったら「最後までよく頑張ったね」と、親はそこでこそ子供をほめてあげましょう。そしてすべての結果が出たら、最終的に進学することになる中学について「○○中学合格おめでとう!これからの6年間が楽しみだね」と、その学校に入れることを、100%喜ぶ。それが運命だったんだと思って。できることなら、親戚一同や、両親のお友達なんかと、「合格祝い」の食事会みたいなものをやってあげられるといいですね。

どんな学校に行くことになっても、たとえ第一志望ではないとしても、親が胸を張って喜んでいるところを見せる。心のどこかに“ほろ苦さ”はあるかもしれないけれど、“ほろ苦さ”を経験できたことも含めて100%喜ぶ。それが中学受験の親の最後の使命だと私は思います。そうすればすべての中学受験は笑顔で終われます。“ほろ苦さ”を経験したとしても、それも含めて、子供にとっての「成功体験」になります。中学受験に「必勝法」はありませんが、「必笑法」ならあるのです。

すべての中学受験生とそのご家族へ……、必笑!