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コラム

幸せな受験のための塾のじょうずな活用法

AI時代に力を発揮するために 親子で伸びる!中学受験
教育ジャーナリスト 中曽根陽子

中学受験では塾の影響力はかなり大きいものです。だからこそ、いい結果に結びつけるためには、塾をじょうずに活用することが欠かせません。しかし、「成績が伸びない」「塾の面倒見がよくない」「質問できない」といった不満の声もけっこう耳にします。そこで、塾を上手に活用する方法を考えてみたいと思います。

なぜ不満がでるのか・・・

 そもそも不満がでるということは、お子さんの状態について、なんらかの心配があるということでしょう。その理由を十分に解析しないまま、ただ塾に文句を行っても始まりません。
 例えば、「成績があがらない!」と言ってもその理由は、わからないところがあるのにそのままになっている、宿題が多すぎてこなせないといった直接学習に関することだけでなく、睡眠不足などによる体調不良、あるいは学校で心配事があるなど、いろいろ考えられます。
ですから、親はまず、子どもの様子をよく観察する必要があります。その上で、その課題を解決するパートナーとして、塾の先生に相談をするというスタンスが必要だと私は思います。

子どもの様子をよく観察して塾に相談

 例えば、つまずいているところがあるなら、塾が始まる前の時間などを活用して、教えてもらうこともできます。また、宿題が多すぎでこなせないなら、絞る必要があるでしょう。その場合、なにを優先すべきかを一番的確に指導できるのが、塾の担当の先生です。塾は得てして多くの課題を出す傾向があります。全部こなさないといけないと真面目に取り組んだ結果、寝る時間が遅くなり、睡眠不足で体調が悪くなりやる気がなくなるといった悪循環に陥らないためにも、子どもの様子をよく観察し、必要に応じて塾に相談をするべきです。

大切なのは塾と子どもと親でトライアングルの信頼関係を築くこと

 しかし、塾に相談したけれど、あまり熱心に対応してもらえなかったという人もいます。もちろん塾の対応に問題がある場合もありますが、それでもいい結果を得るためには、こちらの対応を工夫する必要もあります。
 塾にもよりますが、保護者対応は教室責任者が行なっているところもありますので、直接自分の子どもを担当している先生と話せない場合、具体的なアドバイスをもらいにくいかもしれません。一般的な質問であればまだいいのですが、やはり個別の相談事は、子どもを実際にみている先生にお願いしたいですよね。ただ、時間講師も多いので、質問したい時間に先生が不在ということもあるでしょうし、送迎の時に話そうと思っても、授業の直前は準備で忙しくじっくり対応できないはず。
 なので、質問や相談をする時には、時間的な余裕をもって面談の予約をし、事前に質問事項を簡潔にまとめて伝えておくといった配慮も大切です。これって、とても基本的なことなので、今さらと思われる方もいらっしゃるでしょう。しかし、相手に配慮するという姿勢はよい関係を作る上でとても大切なことですが、余裕がなくなるとついついおざなりになりがち。そうなるとクレームととられがちなので、気をつけましょう。

塾といっても、最終的には個人と個人の人間関係

 塾は幸せな中学受験をするためのパートナーです。パートナーということは、上下関係ではなく、子どもと親と塾がトライアングルの信頼関係で結ばれるということが欠かせません。そのためには、当たり前のことですが相手に対するリスペクトが大切なのです。
「塾に入れたから大丈夫」と高を括ったり、「お金を払っているのだから、成績をあげてくれて当然」と要求したりするのではなく、「いつも子どものことを見てくださってありがとう」という感謝の気持ちを持って接することです。こちらがそういう気持ちでいれば、自ずと相手には伝わり、この親子のためにできるだけのことをしてあげたいと思うはずです。
 その一歩が送り迎えの折の挨拶と「いつもお世話になっています」という一言です。そして、今日は少し話せそうと思ったら「○○の母ですが、最近塾での様子はどうですか」と付け加えてみるといいでしょう。親には見せない子どもの様子を知ることもできます。先生も人間ですから、いい関係が結べれば、目をかけてくれるようになります。
 うちの場合もそうでしたが、塾の先生と子どもたちは、ちょっと特別な信頼関係で結ばれていることが多いです。だからこそ、子どもの成績が上がらないからと、すぐに先生のせいにしたり、文句をいうのではなく、どうすればいいかを一緒に考えてもらえるパートナーとして、親も先生といい関係を築きましょう。信頼できる先生が見つけられて、気楽に家庭での様子を話したり、塾での様子を聞けたりすると、親も安心して受験生活を送ることができます。
 そんな努力をしても、そのトライアングルな信頼関係が築けないなら、最終的には転塾という選択もありです。それについては、別でお話しすることにします。いい意味で塾を最大限に活用しましょう。

中曽根陽子 [教育ジャーナリスト マザークエスト代表]

教育機関の取材やインタビュー経験が豊富で、紙媒体からWEB連載まで幅広く執筆。子育て中の女性に寄り添う視点に定評があり、テレビやラジオなどでもコメントを求められることも多い。海外の教育視察も行い、偏差値主義の教育からクリエイティブな力を育てる探求型の学びへのシフトを提唱し、講演活動も精力的に行っている。また、人材育成のプロジェクトである子育てをハッピーにしたいと、母親のための発見と成長の場「マザークエスト」を立ち上げて活動中。